[2021年5月編] 今月のエンパワメントソングスと使えるフェミニズム英会話
シリーズ第2弾 (第1弾の記事はこちら)、あなたを強くする、エンパワーしてくれる曲を、エンパワメントソングスとして紹介していきます。今月ご紹介する曲に共通しているのは、恋人やパートナーがいなくても、自分自身に満足していて、独立した強い女性を歌っている曲、ということです。「恋は女性をきれいにする」とか、「恋人つくらないの?」「パートナーがいないと寂しいでしょう」など、シングルでいると色んな人から言われたり、女性の幸せ=他の誰かに尽くし、支えること、みたいな考え、未だにありますよね。そんな周りからの言葉を突き飛ばし、「自分は今のままで十分!」と胸を張れる気持ちにしてくれる曲たちを紹介します。
目次
Zedd & Kehlani – Good Thing
最初にご紹介するのは、ドイツ出身のDJ、ZeddとアメリカのR&Bシンガー、ケラーニが歌う、Good Thing という曲です。R&B Queenとも呼ばれるケラーニは、最近レズビアンであることをカミングアウトもしています。そんな2人のこの曲、ミュージックビデオを見ていただくと、歌詞の意図がとっても明確です。そして、とっても爽快です笑。
ミュージックビデオの最初は、高級そうなレストランにて、高圧的な上司の元、ピアノの演奏を任されているZedd(セットリスト以外の曲は演奏するなよ!モダンとかジャズとかはだめ!と釘を刺されていますね)とそこで食事をする客たちとレストランスタッフとのやり取りから始まります。その中でこんなやり取りがありますね。お金持ちの人たちの失礼な態度に、スタッフが耐えている、と言う場面が多数映し出されます。
男性客:You look like you’ve been on your feet all day. Don’t you come find a place to stay? 訳:君、一日中立ってて疲れたって顔しているよ。ちょっとここで(私たちと)一服していかないか? 女性スタッフ:失礼そうな顔をして去る 男性客:Oh no we’re just trying to get to know you better, come on! 訳:君のことをもっと知ろうとしただけじゃないか、頼むよ! 男性客:(前菜はいりますか?と聞いた女性スタッフに対して) I just made a hundred thousand today, so yeah, I think we’re getting the appetizer. 訳:今日の数千万ドルの商談を決めたので、そうですね、前菜は当然いただきますよ。(馬鹿にしたような失笑)
その他にもスタッフが持ってきたワインに文句を言う客や、その他傲慢な態度を取る人たちが描かれています。ピアノを演奏するZeddは悲しげな、怒っているような表情です。そんな中、遅れてシフトにやってきたスタッフのケラーニが歌い始めます。
I book myself tables at all the best restaurants, then eat alone 私は自分にいいレストランを片っ端から予約して、一人で食事する I buy myself fast cars just so I can drive them real fuckin' slow 早く走る車も自分で買って、めちゃめちゃゆっくり運転するの I like my own company 自分ひとりで過ごすのが好き Company, I don't need it 仲間なんていらない I'm not always cold 私はいつも冷たいんじゃない I'm just good on my own, so good on my own ただ一人が好きってだけ、一人が気軽なの
歌い出しからめちゃめちゃかっこいいですよね。誰かに予約してもらったレストランではなく、誰かにおごってもらうのでもなく、自分で予約して自分で食べるし、かっこいい車も自分で買って、自分が走らせたいように走る、そしてそれが自分には一番合っている、って言ってるんですね。ほんとかっこいい(2回目)。そしてサビですが、以下のようになっています。
'Cause I already got a good thing with me 私はすでに現状で満足している Yeah, I already got everything I need そう、必要なものは既に全部持っている The best things in life are already mine 人生の中の最高の経験は既にしている Don't tell me that you got a good thing for me 満足させるよ、なんて私に言わないで 'Cause I already got a good thing with me だって既に私は現状で満足しているから Yeah, I already done everything I dream そう私は既に夢見てたこと全てやったの I'm good by myself, don't need no one else 私は一人で大丈夫だし、他の誰も必要じゃない Don't tell me that you got a good thing for me 満足させるよ、なんて言わないで 'Cause I already got a good thing だって私はすでに現状で満足している
まさにシングルにプライドを持っている人たちの応援歌ですね。ミュージックビデオの終盤、大サビの前で、男性客がケラーニに、お会計でチップを渡す際に、電話番号と、I gotta good thing for you. 君にいいものあげるよ(=満足させてあげられる、と意訳しています)というメモを渡されます。それに対しての彼女の反応は、『Umm.. Just the tip. チップだけで結構。』です。もう最高ですね。ビデオの中でも、この後からは、今まで横暴な客に屈してきたお店のスタッフたちが一気に仕返しを始めます。最後は上司が警察を呼んでいる姿や、Zeddをクビにして、『You’ll never gonna work in this town again!お前はこの街で一生働けないからな!』という言葉で終わります。とっても爽快ですよね。
Billie Eilish – my future
次の曲は日本でも人気の高いビリー・アイリッシュの曲です。独特な世界観とダークだけど繊細な曲調が人気の彼女の楽曲の中でもこの曲は、女性が自分の将来を信じて、夢を追うことを後押ししてくれる曲です。早速そのサビの歌詞を見ていきましょう。
'Cause I, I'm in love だって私が恋に落ちたのは With my future 自分自身の将来 Can't wait to meet her 彼女に合うのが待ちきれない And I, I'm in love そして私が恋に落ちたのは But not with anybody else 他の誰でもない自分自身 Just wanna get to know myself 自分のことをもっと知りたいの
自分自身の将来をherと呼んで、自分の将来に恋をして、もう自分の将来に合うのが待ちきれない、というとても素敵な表現ですよね。私の考察ですが、彼女は数年前から一気に世界中でブレイクし、自分に自信が持てるようになり、もっと大きなことに挑戦し、成し遂げたい、そういう決意が現れた曲なんじゃないかなと思います。もう一箇所、紹介したい歌詞が以下になります。
I know supposedly I'm lonely now (Lonely now) 私は今さみしいってことになるんでしょ Know I'm supposed to be unhappy without someone (Someone) 誰かが側にいないと不幸なはずなんでしょ But aren't I someone? (Aren't I someone? Yeah) でもその誰かが自分じゃだめ? I'd like to be your answer (Be your answer) あなたが思うその誰かに私自身がなりたいの 'Cause you're so handsome (You're so handsome) だってあなたとっても素敵だから
この箇所は多くの人が共感するところかと思います。Supposedly はニュースなどでもよく使われる言葉で、推測で〜である、〜であるようだ、という表現ですね。2段めではSupposedly はSupposed to be に言い換えられていますね。恋人やパートナーがいない人は寂しいはずだ、という考えはまだ多くの人が持っていますし、親切心からか、「誰か紹介してあげるよ」とか「合コンセットしてあげるよ」とか不要なおせっかいを焼かれることや、「誰かいい人いないの?」とか、「恋人作らないの?」とか言われることも多いですよね。幸せになるために、必ずしも恋人は必要ではなく、そして自分の将来にそんなに楽しみになれるって素晴らしいと思います。
Destiny’s Child – Independent Women, Pt. 1
1999年に映画チャーリーズ・エンジェルのサウンドトラックとしてリリースされ、後にディスティニーチャイルドのアルバムにも収録されたIndependent Womenという曲です。20年以上も前にリリースされた曲ですが、この歌詞は当時とっても斬新だったはずです。そして今聞いてもしっくり来る、特に日本じゃ、こんなかっこいい曲なかなかないですよね〜。。
Question, tell me what you think about me 質問、こんな私どう思う? I buy my own diamonds and I buy my own rings ダイヤモンドも指輪も自分で買う Only ring your celly when I'm feelin' lonely 寂しい時だけあなたの携帯鳴らすから When it's all over, please get up and leave ことが済んだら、とっとと帰ってね Question, tell me how you feel about this 質問、これについてどう思う? Try to control me, boy, you get dismissed 私をコントロールしようとすると、追い払うわよ Pay my own car note and I pay my own bills 車のローンも生活費も自分でやり繰りしてる Always fifty-fifty in relationships 恋人との関係はいつでも対等よ
最後の恋人のと関係は対等、というところですが、対等、と聞くとぱっとEqualが浮かびそうなものですが、こんなふうに数字を使ってフィフティ-フィフティという表現もできるんですね。ではもう1フレーズ見てみましょう。
The shoes on my feet, I bought 'em 履いてる靴も、自分で買った The clothes I'm wearing, I bought 'em 来ている服も、自分で買った The rock I'm rocking, I bought it ノッてる曲も、自分で買った 'Cause I depend on me if I want it だって欲しい物があれば私は自分に頼るから The watch I'm wearing, I bought it 付けている時計も、自分で買った The house I live in, I bought it 住んでいる家も、自分で買った The car I'm driving, I bought it 運転してる車も、自分で買った I depend on me (I depend on me) 私は自分でなんとかするの
全ての他人に依存せず独立した女性に送る応援歌ですよね。Dependという動詞は、depend on 〜で、〜に頼るという意味ですが、I depend on me とすれば、他人ではなく自分に頼るという表現にできますし、打ち消しの意味のInを頭に付けて形容詞にすれば、Independentで、誰にも頼らない、自立した、という意味になりますね。
Hailee Steinfeld – I Love Me
本日最後に紹介するのは、ヘイリー・ステインフィールドのI Love Meです。タイトルから読み取れる内容がそのまま歌詞になっている感じです。誰か他の人がいなくても、自分自身のことをきちんと愛せる、という歌です。早速サビから見ていきましょう。
(I love me!) 自分を愛してる! Gonna love myself, no, I don't need anybody else (Hey!) ありのままの自分を好きになるわ、他の誰も必要ない Gonna love myself, no, I don't need anybody else (I love me!) Can't help myself, no, I don't need anybody else 好きにならずにはいられない、他の誰もいらない Anytime, day or night いつだって、昼も夜も
I take it nice and slow, feeling good on my own 丁寧に、自分のペースでいくわ、自分に満足できるから Without you, yeah (Hey!) あなたなしでもね Got me speaking in tongues, the beautiful it comes 自然と言葉が出てくるの、美しい言葉が Without you, yeah (Hey!) あなたなしでも I'm gonna put my body first 自分の身体を最優先にするわ And love me so hard 'til it hurts (Hey!) イタいくらいに自分のことを好きになる I know how to scream out the words あの言葉をどう叫ぶかも分かっている Scream the words あの言葉を叫ぶの・・(あの言葉=この後すぐ来るI Love Me!)
いかがでしたか?メロディーもかなりキャッチーなので、自分の気分を上げたい時にうってつけの曲ですよね。2つめの段落のはじめ、I take it nice and slow について、it が何を指しているのか??となるかもしれませんが、Take it easy! 気軽に行こうよ!という時にように、特定のものを指しているのではなく、自分のペースでゆっくりいく状態のことを言っています。
I Love Meという同じ曲名でデミ・ロバートも曲を出していますね (こちら)。この曲も、他人の評価や社会の理想と関係なしに、いつでも私は100点満点、というメッセージの素敵な曲です。
いかがでしたか?シリーズ第2弾でしたが、今後も月に一度、エンパワーしてくれる曲を紹介していきます。前回から今回にかけて、紹介した曲たちは、YouTubeのプレイリストにして、こちらにまとめています!あたなをエンパワーしてくれる曲はなんですか?是非訳を紹介してほしいイチオシの曲があれば教えて下さい!