ジェンダー

恋愛・結婚とジェンダー – 出会いから結婚式までの中のジェンダーロールに疑問を持とう

突然ですが、みなさん以下のようなシチュエーションを想像してみて下さい。


レストランで男性と女性がデートをしています。レストランでの食事が終わり、女性がお手洗いに立ちました。

男性はそのタイミングですかさず店員にアイコンタクトをし、女性が離席している間に、お会計を済ませます。気づかずに戻ってきた女性は、店を出る時になり、男性がお会計を済ませていることに気づきます。

このときの女性の心情は次のうちどれでしょうか?

1.「お金払ってくれたなんて、かっこいい!」

2.「男性なんだから払ってくれて当然でしょ」

3.「割り勘が良かったのに勝手に支払いされて残念だな」

4.「私がおごってあげたかったのに、、」


どうでしょうか?見たことある、体験したことある人も多いのではないでしょうか。この答えは、記事の中でお話します。


さて本日は、恋愛から結婚の中での、ジェンダーの役割、社会が持つイメージについて考え、それらについて本当にそう?という疑問を投げかけたいと思います。今恋愛をしている人も、そうでない人も、うまくいっている人も、なかなかうまくいかない人も、今一度、恋愛や結婚の形や、その中で「女性はこうあるべき」や「男性はこうあるべき」について考えてみませんか?

恋愛とジェンダー

誰かが気になり、その人へアプローチをする、という恋愛の最初のステップの中でもジェンダーによって期待される役割が違っていますよね。

例えば、ナンパは男性から女性へ声をかけることを言い、女性から声をかけることは「逆」ナンパと呼ばれます。また、男性には積極性が求められ、女性は受け身で大人しくしていること、男性には積極性が求められる、ということの一つの証明として、一昔前から言われている、「草食男子」があります。この言葉が出てきた背景として、恋愛やアプローチに積極的な「肉食男子」が男性の通常とされている中で、そうはない消極的な男性(いわゆる異常な存在)に名前を付けて強調している言葉と言えます。

また、デートはプランを男性が考え、アレンジし、食事などの代金も男性が払う、というのも、女性がそうすることよりも期待されていることが多いですよね。街コンや出会い系のサービスなどでも、女性は無料で参加ができて、男性は有料、というものも多いです。(実際に私も、パートナーと食事に行くと、お金を払うのが私であることが多いのに、伝票は男性である私のパートナーに渡されることばかりで、もやっとしてしまいます。)

男性は恋愛をするにあたり、積極的であり、かつ金銭的な負担も背負うものだという考えが、男性自身にもそうですし、女性もそういう期待をしている人が一定数いるのではないでしょうか。「デートに行ったら割り勘だったから萎えた」や「女性に支払わせるのは気が引けるよ、、」なんて言葉、私も聞いたことがあります。

さらに、学歴や職業に関しても、恋愛の中で「理想」が大きく関わってきます。付き合ったり、結婚したりする人に求める理想像として、男性は高学歴や一流企業の社員であることが有利になる一方で、女性はその逆であることがあるのです。このことは、上野千鶴子さんの有名な東京大学の祝辞でも述べられていましたね。以下引用文章です。

他大学との合コン(合同コンパ)で東大の男子学生はもてます。東大の女子学生からはこんな話を聞きました。「キミ、どこの大学?」と訊かれたら、「東京、の、大学…」と答えるのだそうです。なぜかといえば「東大」といえば、退かれるから、だそうです。なぜ男子学生は東大生であることに誇りが持てるのに、女子学生は答えに躊躇するのでしょうか。なぜなら、男性の価値と成績のよさは一致しているのに、女性の価値と成績のよさとのあいだには、ねじれがあるからです。女子は子どものときから「かわいい」ことを期待されます。ところで「かわいい」とはどんな価値でしょうか?愛される、選ばれる、守ってもらえる価値には、相手を絶対におびやかさないという保証が含まれています。だから女子は、自分が成績がいいことや、東大生であることを隠そうとするのです。

上野千鶴子 – 平成31年度東京大学学部入学式 祝辞

ほんとうにそう?ほんとうにそれがあなたにとって最適な形?

この記事では決して、積極的な男性と受け身の女性を批判したいのではありません。ただこの形が「普通」や「最適な形」、「理想」だと決めつけていませんか?と是非考えていただきたいのです。ジェンダーに関わらず、その人の性格として、恋愛になると積極的なタイプの人も、受け身な人もいます。また、ジェンダーに関わらず、積極的な人が好きな人や、消極的な人が好きな人、惹かれるタイプも様々ですよね。今一度、冒頭で挙げたシチュエーションを見てみましょう。答えは、この問いに正解はありません、というかすべて正解になり得ます。女性によって、そして相手の人との関係性によって、どう思うかは全然違うからです。大切なのは、女性だからおごってほしいはず、とか、男性だからおごらなきゃ、とか、そういう大きなくくりで考えず、その人はどうしてほしいかを考えることや、それを知るためにコミュニケーションを取ることですよね。

プロポーズは男性から?

同じように、むしろもっと顕著なのがプロポーズの場面ではないでしょうか。プロポーズは男性から、というのは今でも「普通」とされていますよね。結婚をしたい彼女が、彼氏に「プロポーズさせる」ための方法、なんていうウェブ記事や雑誌の特集なんかもあったりします。しかしこれも考えてみていただきたいのです。結婚という重要な人生の節目になり得る出来事なのですから、もっと二人で話し合って決めてもいいはずですし、それを言い出すのは男性でも、女性でもいいはずです。女性も結婚したいなら、堂々とそれぞ自分から言えるようになるような社会が素敵だな、と私は思います。

婚約指輪は給料3ヶ月分?

結婚に関係したこととなると、よりジェンダーごとの役割が色濃くなってきます。プロポーズの時には婚約指輪を男性から女性へ贈り、かつ結婚するタイミングで結婚指輪を夫婦二人分、購入するという方が多いのではないでしょうか。この、プロポーズの時に男性が準備する婚約指輪ですが、これ「給料の3ヶ月分」なんて言われていたりします。ここまでいかなくても、何十万円もするブランド物の婚約指輪を購入し、そしてまた結婚指輪でも同じような価格帯のものを購入する、というような誰が決めたかもわからない「普通」や母数が謎な「相場」があります

こんなのもあり – 結婚指輪

結婚指輪は予算を抑えて(または婚約指輪はなくてもいいですよね!)、数万円(数万円でも素敵で長持ちする指輪、たくさんあります)にそておいて、もっと二人の思い出に残るような旅行や体験にお金を使うこともありです。また、予算を抑えながら、思い出になる指輪をゲットできる案としては、二人で結婚指輪を手作りする、というのもおすすめです(実際私はそうしました)!指輪のサイズももちろんぴったりのものを選べますし、指輪の素材から太さ、デザインまで自分たちで決めることができます。そして何十万円の指輪を購入するより遥かに安いです。私の場合ですが、二人で8万円くらいでできました。例えばですが、こんな指輪の手作りができる場所があります。

  • CRAFY – 東京・神奈川・京都に店舗があります (実は中の人もここで結婚指輪を手づくりしました)
  • 鎌倉彫金工房 – ここは名前の通り鎌倉にある工房です。結婚指輪以外にも普段遣い用のシルバーリングなども手作りできますよ

結婚式とジェンダー

最後の極めつけは結婚式です。結婚式は、ジェンダー規範の宝庫とも言えます。金銭面で見ても、「一生に一度」という商売文句を使って、日常生活だったらありえないほどの高額のサービスや衣装やアクセサリーにお金が飛んでいきます。ではジェンダーの視点で見てみるとどうでしょうか。結婚式の中での以下の場面、参列したことのある人はおなじみですが、ジェンダーの視点で見るとこんなことが見えてきませんか?(私の個人的な感覚と、ネット調べの数です)

▶入場の挨拶:披露宴の冒頭にて、新郎新婦から、参列者へ最初の挨拶を行います。このはじめの挨拶、どうしてか、ほとんどの場合新郎が行います。

▶ケーキバイト:ウェディングケーキを新郎新婦で入刀し、ファーストバイトを行う、という儀式なのですが、この最中には、必ずと言っていいほど「このケーキバイトは、女性は一生ご飯を作ってあげる、男性は一生食べるものに困らせない、という誓いの儀式です」という司会の方の説明があります。私みたいな気になる人にとっては、違和感しかないアナウンスです。。

▶両親への手紙:披露宴の締めのタイミングで行われるこの儀式ですが、これもなぜか、女性のみが全員の前で両親への手紙を朗読します。感動的な場面や涙は女性の役割、という現れでしょうかね。。

▶締めの言葉:披露宴を締めくくる締めの言葉ですが、両親からの挨拶は新郎側の父親、締めの挨拶も新郎が行うことがほとんど、むしろ私はそのパターンしか見たことがありません。まさに家父長制の名残のしきたりですよね。

おそらく結婚式や披露宴に出席したことがある人は共感いただける方が多いのではないでしょうか。結婚式を企画する側としては、おそらくこれらのジェンダーロールに関してほとんど意識することなく、「そういうものだから」そうしている、というカップルが多いのではないでしょうか。

こんな結婚式もあり!

では、ここまでで挙げたジェンダーロールから自由になって、本当に自分たちらしい結婚式にするには、どうすればいいでしょうか?あくまでも私のアイデアですが、こんなのもありだよね、という形を提案します。

▶入場の挨拶:この挨拶は遠方からも含めてわざわざ来てくださった自分の大切な家族や友人への挨拶です。新郎だけに任せておくのはもったいない!新郎と新婦、両方でスピーチをするのもありですよね!新郎があがり症の場合は、新婦が代表して言ってももちろんOK。

▶ケーキバイト:最近だとケーキの代わりに一緒にお酒を作るとか、植樹をする、というような代替案もあります。これだと、伝統的なファーストバイトの意義にとらわれずに済みます(そしてやたらと高いウェディングケーキも避けられる◎)。でもやっぱり写真映えするウェディングケーキを使いたい!というカップルは、例えば、司会の人に頼んで、ファーストバイトのときのアナウンスを「お二人がお互いに食べさせ合うケーキは、愛情の大きさを表しています」というように、ファーストバイトを再定義してもらう、というのもありですね。これなら気持ちよくファーストバイトできそう。

▶両親への手紙:こちらも、家族への思いを伝える貴重な機会です。新婦だけでなく新郎も手紙を読むのはどうでしょうか?進行上時間がない、というのなら、締めの言葉のところで、気持ちを伝えるのもありですね。そしてもちろん、全員の前で手紙を読むのはちょっと、、という場合は読まなくても、新郎だけ読んでもいいですよね。

▶締めの言葉:これはもしかすると、家族が関わってくるので、新郎や新郎の父以外に任せるとなると反感を買うかもしれません。おそらく結婚式が、ジェンダーロールの観点でこれだけ時代遅れで金銭的にも世間離れしているのは、他人であり価値観も全く違う2つの家族に最大限気を使うためだったのかもしれません。とにかく伝統に従っていると、文句は言われにくいですからね。しかし、ここも最大限両方の家族とコミュニケーションを取りながら、自分たちにとって最適な形を、慣例抜きで、考えられるといいですね。

最後に

異性同士での恋愛や結婚となると、どうしても強調されがちなジェンダー。今日挙げたもの以外でも、きっとみなさんが普段から感じている、「これって変だ」と思うジェンダーロール、たくさんあると思います。そしてこのジェンダーロールに疑問を持ち、適切でない社会の認識を見直して行くことで、男女という2つの性別へのフォーカスではなく、個人へのフォーカスにシフトできれば、性別二元論からも脱却できる近道ではないでしょうか。そしてこの性別二元論からの脱却は、多様な性への寛容、LGBTQ+にもっと優しい社会にも繋がっています。恋愛や結婚など、自分の身の回りのジェンダーから考え、議論する機会をもっと持てたらいいですね。


ちなみに・・・

少し前にインスタグラムのアカウントでは紹介をさせていただきましたが、先日公開された、Cosmopolitanさんの記事にて、中の人Kanakoがインタビューに答えています!フェムテックに関する記事で、とても素敵な仕上がりになっています。フェムテックということで、生理やセックスまで、かなり赤裸々に語っておりますので、是非多くの方に見ていただければ嬉しいです。

コロナ禍での変化も!フェムテックと生きる「私のストーリー」

女性のお悩みに!使ってよかったフェムテック&フェムケア用品8

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