ジェンダー

ジェンダーを通して社会を見るということ 〜その生きづらさの原因、実はジェンダー規範のせいかも〜

みなさんこんにちは、本日はジェンダーを通して社会を見る、つまり日常のさりげない出来事や普段意識していないところで、ジェンダーについて意識して物事を見てみる、ということについて書いています。

これができるようになると、今まで「しょうがない」と思って諦めていたことが「実はそんなことないかも」と思えたり、自分の将来に対して思っても見なかった選択ができることに気づいたり、なんとなく生きづらさを感じている人にとっては、その原因がクリアになるかもしれません。

考えてみよう、身近な男女比

まずはみなさんに自分の身近な生活の中の「男女比※」について考えてみて下さい。

※性は正確には男女に2分割できるものではありませんが、ここでは分かりやすいように男女比としています

学校に通っている中での男女比

  • 自分が取っているクラス・ゼミ
  • 部活動(運動部、文化部それぞれ)
  • 先生
  • いつも使っている教科書の著者
  • 歴史の教科書に出てくる人物

テレビの中での男女比

  • アニメや映画の主役
  • ドラマの中の医師役の人
  • バラエティ番組の司会
  • お笑い芸人
  • ニュース番組に呼ばれる専門家

勤務する会社の中での男女比

  • 自分の所属するチーム
  • 経営層
  • 今日出席した会議のメンバー
  • 会議で発言している人

買い物にスーパーへ出掛けた先での男女比

  • レジ係をしている人
  • 買い物に来ている人
  • 子どもを連れている人

一番身近な家族や親戚の中での男女比

  • フルタイムで働いている人、パートで働いている人
  • 料理・家事をする人

このように、みなさんがいつも当たり前のように過ごしている学校や会社は正に日本社会の縮図です。まずは身近な生活圏の男女比を考えてみると、以下のようなことに気づきませんか?

  1. 権力や発言権を持つ役割には男性が多い(経営層、校長、教科書の著者)
  2. それを影で支える役割には女性が多い(秘書、看護師、アシスタント)

男性が多い①権力を持つポジション、とは、他人に大きな影響を及ぼすことができる人、という風に言い換えることもできます。会社の経営層はもちろん、学校の校長、政治家などは分かりやすい例ですね。教科書の著者は、教育という私たちの基礎を作る重要な役割を担っている人です。それ以外にも学校の先生や教授は、女性もいますがまだ現在は男性の方が多い専門的な仕事です。それ故、テレビのニュース番組などで専門家として呼ばれる人も男性が多くなります。①のもう一つの特徴は、社会的に地位がある=お給料が高いという点です。

女性が多い②人をサポートするようなポジションの例として、分かりやすいのは秘書や看護師、(家事や育児を担う)専業主婦などの仕事です。テレビではいつも時間を忘れて暴走するメインパーソナリティを止めるのは女性アシスタントの役目であることが多いですよね。そしてこの②のポジションは、①に比べると給料が低い傾向にあります。スーパーのレジのパート、保育園の先生、事務や受付の仕事なども圧倒的に女性が多く、かつ社会的にも地位は低く、お給料も低い傾向にあります。

この事実を聞いて、そんな事実とっくに知ってるよ、と思う方もいらっしゃるかと思います。この事実そのものには問題はありません、もしこれがすべての人が心から望み、自分の力が発揮できるポジションであるのであれば。問題なのはこの事実ではなく、この現実が私たちの意識へ及ぼす影響です。

私たちは見えないものになることはできない

子どもが将来何になりたいかを考える時に見ているのは、今の社会です。テレビを見て、政治家は男性ばかりだ、と知った女の子は無意識のうちに、政治家ではなくより身近にロールモデルがいる、保育園の先生になりたいと言うでしょうし、本当はこどもと遊ぶのが好きで保育園の先生になりたい男の子がいても、物心がついて保育園の先生は女性が圧倒的に多く、給料もあまり良くない、男子として将来大黒柱にならないといけないから、と意識をして医者を目指すかもしれません。

私たちは見えないものになることはできないのです。今のように、色んな所で男女の差があり、ジェンダー規範(※2)から少し離れれば「変わった」人にみられてしまうような世の中で、本当に私たちは自分の心に正直な選択をできるでしょうか?

もし、女性の総理大臣が誕生し、政治家として活躍する女性がたくさんいて、生活に合わせて専業主夫を選ぶ人が、専業主婦を選ぶ人と同じくらいいて、テレビで発言権を持っている人も芸人として笑わせてくれる人も男女同じくらいいて…、ほとんどの職業で男女が同じくらい活躍している社会になったら、これから子どもたちの将来の夢はどのように変わるでしょうか?

※2:ジェンダー規範とは、男性らしさや女性らしさが求める規範のこと

今日からできること

みなさんの人生の中でも、もしかしたら無意識に、様々なところにある男女の偏りに影響されて、自分が本当に進みたい道やなりたいもの、やりたいことを選択肢から外してしまっていることがあるかもしれません。でも今日からジェンダーを通して社会を見る、ということができるみなさんは、是非意識してこの偏りを克服し、自分のこころのままに、やりたいことができるようになってほしいと思います。

すぐには難しいかもしれません。正直私でさえ無意識のうちにこのジェンダー規範に飲み込まれてしまうことがあります。でもふと悩んだ時や、立ち止まった時、自分なんて、、とネガティブな心になってしまったときに、「いや待てよ、これってもしかして、、」とこの記事を思い出していただければ嬉しいです。

最後に蛇足ですが、私の話を・・。かつて保育園の卒園式で、みんなの前で将来の夢を発表する、という機会がありました。5歳の私はおそらくパン屋さんと答えたと思うのですが、実際パン屋になりたいと思ったことはありませんでした。(なので明確に覚えていません、お花屋さんだったかな、、)私がこう答えた理由は明確で、5歳ながら、周りが期待する回答を考えていたのです。私の同級生はきれいに、男の子はスポーツ選手、大型車の運転手、総理大臣、女の子はお花屋さん、パン屋さん、お嫁さんと答えていたのをしっかり覚えています。もし私が保育園に通っていた時、女性のスポーツがもっと盛んで、政治家も多いような時代なら、この答えは変わっていただろうなと思います。今後そんな社会を実現するために、また次の記事にてお会いしましょう。

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