性教育

産みたい女性が20代から知っておきたい選択肢 – 妊娠適齢期や卵子凍結について –

この記事でお伝えする内容

  • 前提:子どもを持つも持たないも、あなたの自由です
  • 子どもを持つ選択をする場合の方法
  • パートナーがいる場合
  • パートナーがいない場合
  • 知っておくべきこと①一般的な妊娠の適齢期、自然妊娠のタイムリミット
  • 知っておくべきこと②自分の『妊娠のしやすさ』
  • 知っておくべきこと③卵子凍結 – 卵子は老化する – 

自分の人生のハンドルを自分で握り、自分がより幸せになる道を進む、一人でも多くの人がそんな生き方ができるようになればいいなという思いから、Dear Sophia では様々なトピックを取り扱っていますが、本日の記事は、主に将来子どもを持ちたい人、特に女性に向けに書いています。そして本題に入る前に、大前提の部分を強調させて下さい。

前提:子どもを持つも持たないも、あなたの自由です

読んでくださっている方の多くの人生設計の中でも厄介な命題の一つが、結婚・出産ではないでしょうか。結婚や出産の話題は10代から意識をし始め、20代で現実的になり、30代で焦りを感じる、そんな人も多いかもしれません。まだ社会では女性の幸せ=結婚・出産という考えや、男性は結婚してこそ一人前、のような窮屈な考えが一部で蔓延っています。しかし周りがなんと言おうと、結婚をする、しないはあなたの自由です。(しかし現在の日本では全てのカップルに結婚する権利がないことも忘れてはいけませんね)それと同じように、結婚している、していないに関わらず、子どもを持つ、持たないもあなた(とパートナー)の自由です。

それなのに、日本では婚期(ってそもそも何だよって話ですが)を逃した女性を「売れ残り」などと『モノ』扱いしたり、男性の未婚者を「訳あり」などと揶揄したり(一方で男性に対しては「独身貴族」という言い方もありますね)、あたかも結婚が真っ当な人生の通過点のように言われてしまいます。これと同じように、子どもを持たない既婚女性が肩身の狭い思いをしてしまうような周りの発言や、政治家までも女性を『産む機械』発言をしたこともありました。

パートナーと結婚するという選択をした生き方も、結婚をしない生き方も、また、シングルであっても、それぞれの人生に優劣はなく、同じくらい尊いものです。また、子どもがいても、いなくても、子どもと血が繋がっていても、そうでなくても、家族の絆に変わりはありません。また、結婚する、しない、や子どもを持つ、持たないという考えは、誰かに宣言する必要も(もちろん責任も)ないですし、考えが変わってもいいのです。また、相手との関係性もありますが、むやみに自分の考えを押し付けることはすべきではありません。『もう29だしそろそろね』とか、『家族が増えたら広い家の方がいい』とか、その人が結婚をしたい・子ども作る前提で話をしていませんか?こういう小さいことが積み重なるプレッシャー、結構大きいものです。

これらの前提をお話した上で、あなたが現在シングルであっても、パートナーがいても、是非今から考えておいて欲しいことが、将来自分は子どもを産みたいか、です(もちろんこの答えは変わっても良い!)。そしてこの記事では、産みたい場合の生物学的な適齢期や、産むための選択肢などをご紹介します。こちらの記事で紹介することはあくまでも選択肢の一部であり、全てではありません。また、医師でもなんでもない、素人の目線からお伝えするものです。是非考えるきっかけになれば嬉しいです。

子どもを持つ選択をする場合の方法(一部)

漠然と、将来を子どもがほしいと思っている方は、子どもをもつ方法にどのようなものがあるかご存知ですか?子どもを持てるのは結婚をしている、パートナーがいる人だけではありませんし、自然妊娠だけでもありません。一部ですが子どもを持つ場合の方法について以下にまとめてみました。

パートナーがいる場合

  • ①異性の生殖器を持つパートナーとの間であれば、自然妊娠・出産が可能
  • ②その他、自然妊娠ができない、しない場合は、人工受精、代理母、養子縁組など

パートナーがいない場合

  • ①将来のパートナーと子どもを妊娠・出産したい女性の場合は卵子凍結という選択肢
  • ②パートナーがいなくても出産がしたい女性は精子バンク、人工受精、養子縁組など

そして本日は、上記の中でも、特に、①パートナーとの間で妊娠・出産をしたい女性をメインのターゲットに、是非早いうちから知っておいて欲しいこと、考えておくといいことを書きたいと思います。

もしあなたが〜20代で、将来子どもがほしいな〜となんとなくでも思っているのであれば、以下の3つのことは、知っておく価値があると思います。

知っておくべきこと①一般的な妊娠の適齢期、自然妊娠のタイムリミット

妊娠には、残念ながら生物学的な適齢期というものがあります。女性の場合は20代(早いほど◎)、男性の場合は40歳前後までと言われています。実際に女性の方が適齢期が短く、そしてこの適齢期がキャリアを頑張りたい時期と同じの方が多いことから、生物学的な適齢期と、社会的な適齢期のズレが起こってしまっています。このことから、最近のデータでは、女性の第一子出産の平均年齢は30歳を超えています。近代の医療の発展により、30代での出産も十分可能になってきている、というのはご存知の方も多いのではないでしょうか。

しかし一方で、30代で産めばいいから、大丈夫、と20代、30代をキャリアに没頭し、気づけば30代後半になっていた、もう少し早くから考えていれば・・という後悔は避けたいですよね。実際上の図の妊活開始年齢の図を見ていただければ、意外と若い年齢から妊活が必要なことに驚く方もいるのではないでしょうか。30代後半になってからパートナーとの間の子どもを考えはじめると、パートナーがいない場合はパートナーを見つけるところからのスタートですので、40代に入ってしまうことも十分考えられます。また、近年不妊に悩むカップルは6組に1組というデータもあるくらい、不妊は身近なものになっています。ですので、将来子どもが欲しいと思っているのであれば、早いうちから自分の選択肢について知っておくこと、プランしておくことが非常に重要なのです。

女性やカップルが20代のうちは仕事が忙しく、そもそも妊娠や子育てについて考える暇がないという現実や、交際をする機会がない、という社会的な問題もありますよね。そこは社会全体で解決していくべきことですね。

知っておくべきこと②自分の『妊娠のしやすさ』

みなさんはブライダルチェックというものを聞いたことはありますでしょう?プレママ検診などとも呼ばれるようです(結婚しているかどうかに関わらないので、両方とも微妙なネーミングですが)が、これは、妊娠や出産に関わる病気を持っていないかや、女性ホルモンの状況や子宮の状況、卵巣に残る子宮の数(AMH血液検査)などから、『妊娠のしやすさ』を把握するための検査のことを指します。①の一般的な妊娠の適齢期やタイムリミットはありますが、これには個人差も大きいものが現実ですので、自分個人の妊娠のしやすさを知りましょう。

すぐの妊娠を考えていてもいなくても、まずは自分の妊娠のしやすさを知ることは自分のライフプランをする上での第一歩です。30代になっていざ妊娠を考えた時に自分の妊娠のしさすさを知るのと、20代のうちからその情報を知った上で自分の人生を設計するのとでは大きな違いがありますよね。

婦人科がブライダルチェックとしてセットで展開していることが多く、血液検査や、超音波など、自分が調べたいものをカスタマイズできるところも多いです。また、会社で毎年健康診断がある人は、そこでオプション検査として実施できる場合もあるので、そのタイミングで調べてみるのもありです。価格は調べる項目によりますが、15,000円〜30,000円ほどと少し高めになりますが、その代わり自分の身体の状態が分かることを考えると、価値はあるのではないかと思います。

仕事で忙しい中でも、健康診断のタイミングであれば病院にも行きやすいですし、考えるきっかけを作ることは非常に大きな意味を持ちます。もし何か問題が見つかった場合でも、多くの性感染症は治療ができますし、不妊の要因になることが見つかっても医師のアドバイスを受けながら改善できる余地がありますし、得た情報を元にライフプランを見直すことができるのが何よりもメリットです。

知っておくべきこと③卵子凍結 – 卵子は老化する – 

先程女性の妊娠の適齢期は20代とお伝えしましたが、これには卵子が大きく関わっています。妊娠に必ず必要な卵子ですが、卵子の数は生まれてから減る一方だということ、ご存知ですか?女性が持つ卵子の数は生まれた時には約200万個なのに対して、思春期から20代で30-50万個まで減り、37歳くらいまでにはなんと約2万個までに激減するのです(以下の図参照)。女性の妊娠しやすさは、おおよそ32歳位までは緩やかに下降するが、卵子数の減少と同じくして37歳を過ぎると急激に下降していくのですね。しかも、卵子はいわゆるストック型で、精子のように新しく作られることはないので、あなたの年齢とともに卵子も年を取り、質が低下していきます。このことから、年齢を重ねるごとに、妊娠率が低くなっていくのですね。そのため、若いうちに質の良い卵子を取り出しておいて、それを冷凍保存しておく、これが卵子凍結です。

卵子凍結は、現在はパートナーがいないけれど、将来のパートナーとの間で妊娠、出産がしたい女性や、現在パートナーがいてもいなくても、仕事やライフプランを考慮し出産はもう少し先に行いたい女性に最適な選択肢となりえます。卵子凍結を行ってから、その卵子を使う方法としては、卵子を精子と人工的に受精させたものを子宮に移植します。

重要なポイントとしては、卵子凍結を行ったからといって、人工授精、妊娠に成功する保証はないこと(卵子が若くても高齢出産にはリスクが伴います)、そして通院の負担や費用が決して安くないことです。

卵子凍結にかかる費用について

卵子凍結は現在保険適応ではありません。そのためかかる費用も高額になります。以下に費用をまとめていますが、クリニックによって費用はまちまちで、検査から排卵誘発、採卵手術、凍結・保管まで含めて約35〜90万円くらいとなります。決して安くない上に、保管年数が増えればその料金も高くなります。経済的に安定していない20代前半だとかなりハードルが高いかもしれません。このことから、卵子凍結を実施する場合、自分の経済状況や、どこまで妊娠・出産にこだわるかどうかなどを考慮し、20代後半なのか30代前半なのか、タイミングについて決定するのが良いかもしれませんね。

①検査・排卵誘発(3~10万円)

②採卵手術(10〜30万円)

③凍結・保管(20~50万円)

この卵子凍結の高額な費用を企業の福利厚生として支援する先進的な動きもあります。人気のフリマアプリで有名な、メルカリでは、日本企業として初めて、卵子凍結に対して補助金を出すという福利厚生制度を取り入れました(メルカリのプレスリリース)。女性の多様な働き方とライフプランを応援する素晴らしい取り組みですね。一方でまだ日本企業ではメルカリが初めてで、ほとんどの人が金銭的な援助がない状況です。今後この卵子凍結に対する支援がどこまで広がるのか注目したいと思います。

卵子凍結については以下の婦人科ラボさんのページにわかりやすくまとまっておりますので、詳しく知りたい方は是非こちらの記事を確認されてみて下さい。婦人科ラボさんのウェブページでは卵子凍結以外にも、妊活、不妊治療に関する様々な記事が掲載されており、この記事を書く上でも、大変参考にさせていただきました。


最後に

本日はパートナーとの間での妊娠・出産について書いていますが、子どもを持つための選択肢は、それだけではありません。養子縁組や里親制度で子どもを迎えることや、人工授精、精子バンクなどの選択肢も考慮する価値はあります(社会的な選択のしやすさはまた別問題ですね)。自分自身のライフプランやパートナーとの話し合いを経て、自分が一番幸せなれる選択をするために、今回の記事が参考になれば嬉しいです。


参考文献

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