ジェンダー その他

アンコンシャス・バイアス  – 誰でも持っている無意識の偏見とうまく付き合う方法 –

こんにちは!

本日はアンコンシャス・バイアスについてお話したいと思います。アンコンシャス・バイアスとは、

  • 無意識の思い込み
  • 潜在的ステレオタイプ
  • 無意識のバイアス
  • 潜在的な偏見

など色々な言葉で表現されるもので、ジェンダーだけでなく様々な偏見を理解するために頻繁に使われており、かつ私たちが必ず持っているものです。最近ではGoogle をはじめ、企業の研修としても注目されているアンコンシャス・バイアスですが、この中身を見ていきましょう。

アンコンシャス・バイアスの例

アンコンシャス・バイアスを理解いただくために、いきなりですが以下のシナリオ、頭の中で場面を想像しながら読んでみて下さい。

救急病院に、男の子と父親が運ばれて来ました。病院に着き、手術室に入った時、男の子を見て医者が言いました「・・私は手術を担当できません、これは私の息子です。」

さて、これはどういう状況でしょうか?頭の中が???な人もいるのではないでしょうか?

こんな状況あり得ない!と思った方、いいえ、そんなことはありません。考えられる状況として、この家族は父親が2人の同性カップルと子どもがいる家族ということも考えられますし、医者が女性で、母親であることも考えられます。

「この状況はあり得ないよ、父親が二人いるなんて」そう思った方は、医者=男性だと無意識に判断しています。かつ、家族の形は、母親と父親と子どもだ、と無意識に判断をしていますね。

これこそが、アンコンシャス・バイアスにあたります。ふと立ち止まれば医師=男性ではない、知識さえあれば家族の形は多様であることはわかるはずなのですが、アンコンシャス・バイアスは、自分が考えて判断するより前の無意識の段階で持っているバイアスなのです。

私たちの味方なの?それとも悪者?

じゃあ、このアンコンシャス・バイアス無くすにはどうしたらいいの?!!と思うかもしれませんが、完全にこのバイアスがない人はいません。なぜなら、これは私たちを助けてくれるものでもあるからです。

どういうことかを説明します。人間は日々の生活を送る中で、常に何百万もの情報に触れています。この何百万の情報の中で私たちが意識的に処理できているのはたった40ほどの情報に過ぎない、という研究結果があります。その他ほとんどの情報は、無意識の領域で効率的に処理し、迅速に優先順位を判断しています。むしろ、この無意識の領域がないと、多すぎる情報に私たちは埋もれてしまいます。アンコンシャス・バイアスは私たちに必要なものでもあるのです。

例えばこのような状況を想像してみて下さい。

色んな国の人が行き交う展示会場で、インフォメーションカウンターのバイトをしているあなたの前に、白人の方がやって来た時は、ハローとその下に話しかけて会話を始める、硬いスーツを着たアジア系の人が来るとこんにちは、といって会話を始める。

この状況の中でのアンコンシャス・バイアスは、白人=英語話者、硬いスーツを着たアジア人=日本語話者というものです。

ここような状況では、複雑な情報を瞬時に秩序立てて理解し、一番効率的な行動をするためバイアスは役に立っている、とも言えますよね。

このように、アンコンシャス・バイアスそのものは悪いものではないのです。程度はさておき、私たちはみな、このアンコンシャス・バイアスを持っており、完全になくすことはできないのです。

じゃあ仕方ないでしょ、と放っておくのか?もちろんそうではありません。どのようにアンコンシャス・バイアスと向き合っていくのかを考える前に、一方でアンコンシャス・バイアスが及ぼしかねない悪影響について、もう少し考えてみましょう。

及ぼす悪影響についてもう少し深く考えてみよう

みなさんは誰かに対して以下のような想定を無意識にしてしまっていたことはありませんか?ふと立ち止まって考える前の、無意識の段階で、です。

▼例えば学校で

  • あの子は女性生徒だから理数科目が苦手だろう
  • あの生徒は母親がアメリカ出身だから、英語が話せるだろう
  • 年頃の男子生徒は彼女が欲しいはずだ

▼例えば職場で

  • あの人は女性だから、昇進にあまり意欲はないだろう
  • あの人は派遣社員だから、仕事に対する情熱は程々だろう
  • このポジションは、研究職だから、男性が向いている
  • 今日会うのは社長だから、年配の男性のはずだ

▼例えば日常生活で

  • あの人は大阪出身だから、話が面白いはず
  • 彼女は女性だからスイーツが好きなはずだ
  • この人は年配だから、パソコンは苦手なはずだ
  • この人は外国人だから、マナーが悪いはずだ

上記に記載した例について、おそらくは、全員に当てはまることではないことを頭では分かっていますよね。女性の全てが数学が苦手ではないことも、全ての社長が年配の男性でないことは少し立ち止まればわかります。このアンコンシャス・バイアスが怖いのは、私たちが気付かないうちに悪さをしているところにあります。

それを説明するのに、面白い研究があるので紹介します。

アンコンシャス・バイアスに関して世界で率先して研究し、従業員の教育に取り入れてきたGoogle が、2013 年に行った実験です。ある研究職のマネージャーポジションに応募してきた人の履歴書として2種類用意をします。2つとも、実績や経歴は全く同じです、違っているのはただ一つ性別だけで、一方には女性の名前を、もう一方には男性の名前を記載します。

それを有識者に見てもらい、どちらの履歴書がそのポジションにより適しているかを聞いた結果をまとめると、なんと男性の名前を記載した方がこのポジションに望ましい人材だ、と判断した人が圧倒的に多かったのです。それだけでなく、オファーする給料も、平均すると男性の方が高く提示されたのです。もう一度言いますが、男性、女性、という項目以外は全て同じ情報の履歴書です。そして評価をした有識者も、男性と同じように女性も研究職に適した人はいる、というのは頭では分かっているはずです。それでも、このような結果になってしまうのです。

このように面接などの人の人生を左右するような場面でアンコンシャス・バイアスが重なってしまと、会社全体、そして社会全体に悪影響を及ぼし兼ねません。

じゃあどうすればいいの?

アンコンシャス・バイアス、なかなか手強いこと、分かっていただけたでしょうか?では私たちはアンコンシャス・バイアスとどのように付き合って行けばいいのでしょうか。答えは簡単で、以下の2つのことに気をつければいいのです。

①自分はアンコンシャス・バイアスを持っているということを自覚する

②学び続ける姿勢を持つ

①日々の生活の中の何気ない行動であっても「私は人間である以上、アンコンシャス・バイアスを持っているんだ」と自覚することで、アンコンシャス・バイアスが悪さをすることを最低限に減らすことができます。

例えばスーパーのレジに並ぶ時、一番近いレジには若い男性が、隣のレジには中年の女性がいた時、袋詰は母親世代の女性の方が上手、というアンコンシャス・バイアスが働き、女性のいるレジへ行きそうになっても、そこで一度立ち止まって自分に話しかけます「いや、同じ基準で面接に合格し、同じ研修を受けている2人なのだから、能力に差はないはず」と、自分のバイアスを意識してやっつけるのです。

②バイアスに気づくには、無意識に選択をしたこと以外の選択肢があることを知っていなければなりません。意識して自分が出会ったことのない世界を見る、聞く努力をする、自分の常識が覆る体験をした時に「別の世界の話」と思うのではなく、「得した」と思ってそれをあなたの引き出しに大切にしまいます。

例えば、取引先の社長と会う予定でいた時、無意識に年配の男性だとばかり思っていたところ、若い女性が現れた時、その時の「驚き」はあなたの人間としての教養を広げてくれる「財産」になります。

また、特に受験や採用の場でのアンコンシャス・バイアスを考える場合、評価項目を事前に明確化することが非常に有効です。詳しくはGoogle がアンコンシャス・バイアスに関して説明しているページに記載がありますので、職場での対応に関してはこちらをチェックしてみて下さい。

参考ウェブサイト:Google re:Work 

偏見の排除

無意識の偏見に意識を向ける

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