その他 自己肯定

ハーフって誰のこと? – 特定の人種とのハーフだけが「ハーフ」なの?

みなさんこんにちは。突然ですが、「ハーフ」と聞いてどんな人たちを想像しますか?身近な知り合いの顔や、テレビに出ているタレントなどを思い浮かべるでしょうか。ハーフとは、定義上は「両親のどちかが外国人の個人」を指します。ハーフという言葉が半分という意味であることから、最近はハーフではなくダブルやミックスという言葉が好まれたりしていますね。しかし、この定義の割には、私たちのハーフのイメージ、ちょっと偏りすぎていませんか?


多くの日本人の「ハーフ」のイメージ

試しにハーフタレントと検索してみると、このような顔ぶれが出てきます。どの人たちもテレビなどでよく見る、人気の顔ぶれですよね。また、ほとんどの人がハーフと聞いてパッと思い浮かぶのも、同じような顔ぶれではないでしょうか?

あれ、でもちょっと待って下さい、、ハーフの定義って、両親のどちらかが「外国人」ですよね。この画像だと、両親のどちらかが「白人」の人たちではないでしょうか?本来のハーフの意味で、「外国人」の親がいるというのがハーフなのであれば、ハーフってもっと多様なはずです。だって外国人とは、日本の国籍を持たない人たちの意味で、要するにそこには実に多様な人たちが含まれます。人種で言えば全ての人種が含まれるのです。じゃあなんで、私たちの中のハーフは白人とのハーフが大半を占めるのでしょうか。

ないことにされてしまっている人たち

先程も触れたように、本来のハーフの意味であれば、ハーフってこんな顔ぶれ、またはもっと多様になるはずです。私たちがハーフという言葉を使って一部の国や人種にツールを持つ人たちだけを想像しているということは、同時にないことにされてしまっている人たちがいるということではないでしょうか。

ルーツを持つ国によって違うハーフの人たちの体験

アジア系の国とのハーフ

アジア系の国とのハーフの特徴は見た目ではあまり分からない場合があるということです。特に中国や韓国は、在日外国人の割合も一番多く、実は一番身近なハーフであるのにも関わらず、タレントでも身近な人でもそれを公言している人、少なくありませんか?これには非常に根が深く、複雑な問題なので、ごく一部の人たちの韓国や中国(またそこにルーツを持つ人たち)に対する偏見はこれだけで記事が書けるほどです。

中でも私が見て落胆したのが、芸能人の中で、この人が韓国・中国に実はルーツを持っている!という「暴露」ものの記事や特集などです。前提として韓国や中国にルーツを持っているのが悪いことで隠すことのように扱われていることもそうですし、現に隠さないと行けない状況であること、そしてこんな卑屈な記事を作る人・見る人がいることがとても残念です。

白人とのハーフ

白人とのハーフはタレントなど、表舞台に出ている一部の人が強調されているが故、スタイルが良くて、英語が話せて、みんなの憧れ、みないなイメージが定着してしまっています。しかしこのイメージは白人とのハーフの中でもごく一部の人たちのことです。様々な体型や見た目の人がいますし、英語が話せる人もいれば、英語ではなく他の言語の方が得意な人もいるでしょう、そして日本で育って日本語しか話せない人ももちろんいます。当たり前のことですよね。

黒人とのハーフ

黒人とのハーフの方々は、多くの場合パッと見て肌の色が濃さや、カールした髪の毛など、アジア人との違いが際立つ場合が多いですね。この見た目の違いは特に人と同じことが重視される日本で育つには、幼少期のいじめや自己否定などに繋がってしまうことが多いです。また、メディアで見る黒人とのハーフはスポーツや音楽の分野など、偏ったところに多い、というイメージもあるかもしれません。ここから、黒人とのハーフは、足が早いはずだ、とか歌がうまいはずだ、という偏見が生まれます。

The Black Experience Japan (こんな素敵な団体があるんだ!)が作成した日本人と黒人のハーフのドキュメンタリー、この記事で伝えたいポイントしっかり抑えてくれてます。おすすめです!

もちろん、どこの国のハーフであっても、人口の98%が日本人で、同じような見た目をしている日本で、ハーフとして生きていれば、自分のアイデンティティに対して悩みを抱えることも少なくないでしょう。一方で、ハーフであることの悩みとは無縁の人もいます。親が片方日本人でも、海外で生まれ育って、日本語や文化に疎遠な人もいますし、逆に日本で生まれ育って、日本語しか話せない人もいますよね。何を考えるときもそうですが、大前提として同じ「ハーフ」でも多様であるということ、覚えておきたいですね。もっと多様なハーフの人たちの経験を知りたい方、NPO法人 難民支援協会が出しているこんな記事もおすすめです。「日本人」とは何か?「ハーフ」たちの目に映る日本社会と人種差別の実際

純日本人という考え

ハーフという言葉がある一方で、純日本人、という言葉もあります。ハーフやクオーターでない、両親が日本人の人たちを指す言葉です。私もよく聞く会話が、A「◯◯ちゃんってハーフなの?すごい彫りが深いから〜!」B「違うんですよ〜!私は純日本人ですよ!」というもの。うむ、、なんだかモヤモヤします。ハーフ=彫りが深いというのも間違っているし、純日本人ってなんだか排他主義をとても感じる言葉です。日本は血の繋がりを重視する傾向が強く、日本の血しか入っていないこと重視する考えは、逆にそうでない人を差別することに繋がりかねません。

白人が優位、という考え

ではなぜここまで、同じハーフでも扱われ方やイメージが異なっているのでしょうか?そこには、明らかな人種の優劣が付けられていると感じます。広告やメディアで多くの人から憧れの眼差しを浴びるのは白人とのハーフの人で、ウェディングドレスや、化粧品など、多くの場合で「日本人」か「白人とのハーフ」の人たちが起用されています。これらの影響もあり、白い肌と彫りの深い顔、すっとした鼻筋、大きな目が「美の基準」とされてしまっています。また、雑誌などの特集で組まれたり、ネットでもたくさんの記事をみる「ハーフメイク」、この言葉もハーフメイクと言いながら、明らかに白人ハーフメイクです。その他にも、多くの化粧品が日焼けや美白(白い肌)に対する異常なまでの執着があるように感じます。

このような、白人の容姿に憧れる考えは、若い世代を中心に無意識で日本社会に浸透してしまっています。このような白人が優位であるという考えが怖いのは、人種差別の根源となるということはもちろん、自身の人種であるアジア系よりも白人の方が美しいという考えは、自己肯定感を下げてしまいます。このブログのテーマでもある自己肯定、豊かな人生を歩む上で本当に大切な気持ちです。人種の優劣はないという前提の元に、自分の人種にプライドを持って、ありのままの自分を肯定するためにも、ある特定の見た目の人が優れているという考えは意識して排除していくべきです。

先程紹介したThe Black Experience Japan のドキュメンタリーの経験の中でも、ナイジェリアとのハーフの男性が、新しくできた彼女の友人に紹介された時、事前に彼は「ハーフ」という説明を彼女は友人にしていましたが、実際に初めて友人が彼の顔を見た時、友人が発したのは「もっとさわやかなハーフかと思った」というような言葉でした。おそらくその友人は「ハーフ」と事前情報をもらった時に、それは白人のハーフであると決めつけ、そして白人とのハーフはさわやかだ、という優劣みたいなものをつけてしまい、実際に見た彼が黒人とのハーフだったことに驚き、そのような発言をしてしまったのでしょう。「ハーフ」という事前情報は見た目に関して何の確かな情報も提供していないのに、です。

こんな言葉、軽く言ってませんか?

ハーフの友人に対して:「いいなぁ、私もハーフに生まれたかった」

よく聞く言葉ですよね。でもよく考えてみて下さい。今までの内容を読んで、アジア系、白人、黒人全てのハーフを意味して言っていますか?特定の人種とのハーフに対してのみ言っていませんか?その発言の裏に無意識の差別があることに気づきますか?

国際結婚をした友人に対して:「ハーフの赤ちゃんとか絶対かわいいじゃん!」

これも、ある特定の人種とのハーフを想定していませんか?ハーフとは、アジア系も白人も黒人も、すべてのハーフを指します。となると、ここであえてハーフ、と言う必要はなく、「あなたの赤ちゃん絶対かわいいと思う!」で良いですよね。もしここでもある特定の人種とのハーフのみをかわいいと言っているのなら、それは差別的になる発言です。

今日からできること – ハーフという言葉を発する前に – 

ハーフ、とは、一言でどんな人かを表すのはあまりにも乱暴なほど、多様な人たちを指しています。しかし日本での現状はその中でも特定の人種とのハーフのイメージが強かったり、優劣さえ付いてしまっている現状があります。これらの状況を踏まえて、今日から実践できることは:

  • ①ハーフ、という言葉はあまりにも白人とのハーフというイメージが強いので、〇〇とのハーフ(ダブル、ミックス)のような形で言う
  • ②ハーフという言葉を使わなくても、中国にルーツを持った人やインド系日本人、〇〇ちゃんのお母さんはアメリカ人という言い方に変えてみる
  • ③そもそも、その人の両親がどこの国の人かとか、今聞く・話す必要ある?関係なくない?と自分に問うてみる

いかがでしたか?国籍や人種ではなく、今目の前にあるその人を知る過程に置いて、その人の国籍や人種ではなく、その人自身のこと、その人が何を考えていて、どういう人なのかを意識して人間関係を構築できるのが理想ですね。最後まで読んでいただきありがとうございました。


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