性教育

生理をより快適にするために、自分の選択肢を知ろう – はじめてのFemtech –

女性、厳密には身体的な性別が女性、または女性器を持つ人のほぼ全てが経験するのが、『生理』です。(ほぼ全てと言ったのは、実は2%ほどの女性には、18歳までに何らかの原因で生理が来ない『原発性無月経』という症状の方がいらっしゃるからです。)初潮は個人差があり早いと8歳、遅くても16歳ごろ、閉経はこれも個人差がありますが50歳前後ですので、ほとんどの女性が40年近く生理とお付き合いをします。生理と次の生理までの周期は、これも個人差がありますが、25日〜38日なので1ヶ月に1度、とすると、1年に12回×40年で、生涯で来る生理なんと480回、これもまた個人差なのですが、生理が続くのが1週間だとすると、時間にすると一生のうち約3360日、なんと一生のうち9年間のも生理中なのです。これに、頭痛や腰痛、胸のハリ、イライラなどの月経前症候群(PMS)に悩まされる期間も入れるともっとです。

最初に:アレの日?女の子の日?生理は恥ずかしいことじゃない

それなのに、なんだか生理って学校でも、家庭でも、友人ともあまり話すことがないと思いませんか?もちろん保健の授業ではその『しくみ』について学習はします。でも一生の間の9年間も悩まされることになる生理について、その期間を『どう快適に過ごすか』や『生理との付き合い方にどのような選択肢があるのか』については親から教わったり、テレビでやってたり、友達と頻繁に話をしたり、そうのような環境は多くありません。生理中であることを男性の前では言ってはいけない風潮があったり、あからさまに言わないで『今日アレだから』とか『今日女の子の日』みたいに言ったり、あたかも生理が恥ずかしいことのように思っていませんか?生理用品はポーチなど中が見えないものに隠しておくべき、ということが『マナー』とされていて、ドラッグストアなどでナプキンを買っても中が見えない紙袋に『配慮』として入れられますよね。これらのことが重なって、私たちには意識的にも無意識的にも、生理=隠すものということが染み付いてしまっています

生理。女性ならほぼだれでも経験をするもので、かつ約9年間も付き合うものが『恥ずかしい』『下品』だという思い込みを、まず捨てるところから始めませんか?そして女性が経験するものはその家族であり友人でありパートナーである男性にも大切なことです。男性も女性と同じように生理についての会話に参加できるといいですね。

そこでぜひ本日は、生理をより快適にするために、言い換えると自分の人生の9年間をよりよいものにするために、生理にまつわるたくさんの選択肢をご紹介したいと思います。

まずはじめに:自分にあった生理用品を選ぼう

紹介するのはこの5つ
①ナプキン
②タンポン
③布ナプキン
④月経カップ
⑤吸水ショーツ

ナプキン:ほぼみんなこれを使ってる!

日本で一番主流な生理用品は、ショーツに付けて使うナプキンタイプのものです。そのナプキンを、生理用のナプキンが付けやすく設計された、サニタリーショーツと一緒に使う方が一番多いのではないでしょうか。ドラッグストアの生理用品コーナーを見ても、たくさんの種類のナプキンが並んでいますよね。驚くべきは、このナプキンを使っている人の割合です。実に日本では9割以上の女性が生理用品=ナプキンを使っているのです。(下図参照)これは私の経験からの憶測ですが、初潮の時に最初に教えてもらった生理用品がナプキンのみで、それ以降ドラッグストアでも生理用品コーナーに行くとほぼナプキンしか置いていないため、『たくさんの選択肢からナプキンを選んでいる』というよりは、『ナプキンしか知らない』という状況なのではないかと思います。ナプキンは、簡単に手に入ってお手軽ですが、ゴミがでることやかさばること、匂いが気になることなど、たくさんの難点があるのも事実です。これらを『生理はそういうもんでしょ』と我慢するのではなく、その他の選択肢についてもみていきましょう。

2019年12月 オズモール調べ 838人(女性限定)

タンポン:ナプキン以外を試してみたい人はまずこれ!

日本でナプキンに次いで利用している人が多いのが、タンポンです。これは脱脂綿やガーゼを細い棒型にしたもので、膣に挿入して使うタイプのものです。タンポンを使っている人はナプキンと組み合わせて使っている人も多いかもしれません。しかしタンポンになると使用者は一気に減り、約5%となります。(実はアメリカではタンポンが主流です。)タンポンに関しては、存在を知っている人も多いかと思いますが、膣に直接入れる必要があることから、抵抗がある人が多いのかもしれません。しかし、タンポンは実際付けてしまうと付けている感覚は無く最長で8時間付けていられるものもあります。また、種類はナプキンほど多くないものの、ドラッグストアで比較的安価で手に入るので、今までナプキンしか使って来なかった人は次の選択肢として検討してみてはいかがでしょうか?また、生理の時に気になるのが経血のにおいですが、経血が臭うのは、経血が空気に触れることによるものです。そのため、タンポンを使うと気になるにおいもかなり軽減されます。ナプキンよりもコンパクトで持ち歩きやすく、ゴミも少なくなるのも重要なポイントですよね。

③布ナプキン:敏感肌の人や、おりもの用としておすすめ

次に紹介するのは布ナプキンです。文字通り布でできたナプキンで、使い方はナプキンと同じですが、洗って繰り返し使えるのが特徴です。繰り返し使えるため、ゴミが出ず、環境への配慮は◎。そしてオーガニックコットンのものが多いので、お肌にも優しいですね。上記で紹介したナプキンやタンポンの多くが化学繊維を使っているため、お肌がかぶれてしまう、敏感肌の方におすすめです。吸水性も、夜でも使えるものもあるくらいなので、十分普段遣いとして使えます。しかし難点を挙げるとすると、数時間ごとに交換する必要があり、その度に毎回洗う必要があることです。それも洗濯機に放り込んで終わりではなく、その前に手洗いをすることが必要なのです。また、外出先で布ナプキンを交換する時は、古いナプキンをジップロックなどに入れて家に持ち帰る必要があります。これらのことから、知っている人はいてもなかなか手が出しづらい、普段使いしにくいのかもしれません。しかしそんな布ナプキンですが、生理の時ではなく、実は生理中でない時の方が、個人的におすすめです。少しおりものが多い日、気になる日におりもの専用の布ライナーで小さめのものがあります。肌触りや通気性もよく、洗濯も楽です。

月経カップ:環境面も実用性も◎

次にご紹介するのは、月経カップです。これは初めて聞いた人も多いのではないでしょうか。この月経カップですが、以前の記事でも紹介したShellyさんバービーさんも自身のYouTubeで紹介されている、ここ最近注目されている生理用品の選択肢です。この月経カップ、医療用のシリコンや樹脂でできており、手で小さくして膣に挿入します。きちんとした場所に入ると膣の中でパッと開いてピッタリつくので、漏れなくカップの中に経血を貯めることができるのです。海外ではけっこう前から使用されていたようなのですが、日本では本当に最近になって、環境への配慮の観点から注目されています。そしてこの月経カップ、ゴミが出ないだけでなく、最長で12時間使えるため、合う人にとっては『生理であることを忘れるくらい』な体験ができます。ただ、装着と取り出しに関しては練習が必要です。かつ、定期的に煮沸消毒が必要だったり、外出先で洗いたいときは難しいかもしれません。(12時間使えるのであれば外出先で交換の頻度も減りますが)また、コストに関して、1つあたりはナプキンやタンポンより高めですが、繰り返し使えることを考えれば、こちらのほうが安くつきます。

※月経カップ、実はアフリカのナプキンやタンポンなどの生理用品が高価で購入できない域の女性も持続的に使えるものとして開発されました。それが今になって環境への配慮や選択肢の増加に伴って日本に入ってきたんですね

吸水ショーツ:他の生理用品と組み合わせて使おう

これは布ナプキンがショーツと一体になったものですね。こちらも最近注目されており、GUが吸水ショーツを発売したことが話題にもなりましたね。こちらは、吸水部分のみを取り外しはできませんなので『外出先で変えたい時はどうするの?』と思われるかもしれませんが、こちらはそもそも月経カップやタンポンと併用して使うことが想定されているようです。タンポンや吸水カップを付けていても、漏れが心配で結局ナプキンを付けている、なんて人も多いと思います。そんな人にピッタリですね。

Femtech:女性が立ち上げた、女性が運営するストアで購入しよう!

ナプキンやタンポンはドラッグストアで簡単に手に入りますよね。では布ナプキン、月経カップ、吸水ショーツなどはどこで手に入るのでしょう?もちろんAmazonや楽天のショップでも購入できますが、せっかく購入するなら是非女性が女性のために運営しているストアでの購入がイチオシです!お値段はドラッグストアや量販店で出回っているものよりかは割高ですが、生理をより快適に、むしろワクワクさせてくれるような製品に出会えたら、お得ではないでしょうか?

また、これらの女性特有の悩みをテクノロジーで解決する製品やサービスのことをFemtech(フェムテック)と言います。Female (女性) とTechnology (技術) をかけ合わせた単語です。最近になって、テレビや雑誌で特集されたり、Femtechのブランドが立ち上がったり、日本でも大きな動きがあります。以下の図がFemtechのマーケットマップです。今回の記事で紹介した生理用品のフェムテックの他にも、妊活を支援したり、アプリで生理周期や健康状態を管理するアプリなども今はたくさんありますよね。本日はこの記事で紹介した生理用品が購入できるサイトを紹介します。

Designed by Fermata

Femtech 製品、買うならここ!

Fermataでは『あなたのタブーがワクワクに変わる日まで』というミッションのもと、Femtechの幅広い分野(生理用品、ウィメンズウェルネス、セクシュアルウェルネス、避妊、妊娠・産後ケアのカテゴリー)で選びぬかれた製品を販売されています。様々なブランドの取り扱いがあります。今回ご紹介した生理用品としては、生理用ショーツや吸水ショーツ、月経カップなど、様々なブランドのものを取り扱いがあります。他のカテゴリーにも、デリケートゾーンのケアやパートナーとのセックスせ使えるグッズなど『こんなのあるんだ!』という製品が多いですので、ぜひチェックしてみて下さい。

Emily Weekでは、女性の生理周期に着目し、新たなライフデザインを提案する、というコンセプトのもと、主にオーガニックで着心地の良い、かつおしゃれな下着や、リラックスできるオリジナルアロマを展開しています。今回の記事で紹介したものだと、セレクトされたものだけでなく、オリジナルの吸水ショーツや、生理用ショーツなども取り扱っています。アパレル大手のベイクルーズが母体ですので、ウェブストアも充実していて、リアル店舗が神奈川と大阪に店舗があります。オンラインストアより、オーガニックコットンのナプキンも購入できます。

LOVE PIECE CLUBはフェミニストが運営する、日本初のラブグッズストアです。設立はなんと、1996年!約25年も前です。この頃は今以上に女性が性の話をするのはタブー視されていたのは簡単に想像できますし、まさにパイオニア的な存在ですね。最近原宿ラフォーレにリアル店舗をオープンさせたことでも話題です。実際に製品を手にとって見に行けるって素敵ですよね。ストアは主にセクシュアルウェルネス、セックストイなどが中心ですが、サニタリーグッズのカテゴリーに、今回紹介した生理用品の扱いもあります。さすが一番古いだけあって、品数もたくさんあるので、カテゴリーごとに製品を見ていくのもとても楽しいです。

また、LOVE PIECE CLUBのコラムもとてもおすすめです。


低用量ピル:自分の生理のサイクルを知り、コントロールしよう

生理にまつわるもう一つの大きな選択肢は低用量ピルです。低用量ピルは主に2種類の女性ホルモンで作られたもので、毎日同じ時間に小さな一粒を飲めば様々な効果が期待できるものです。現在日本では産婦人科にて処方してもらう必要があり、普及率は3%ほどと低いのですが、欧米ではドラッグストアで購入できるもので、フランスでは30%以上の女性が、アメリカでも約13%の女性が飲んでいるというものです。他の薬と同じように、副作用がありますが(かつ個人差が大きい)、身体に合う人にとってはメリットがたくさんあるものです。以下に3つメリットをあげます。(これ以外にもニキビや肌荒れに良いというメリットもあるようです。)

※低用量ピルを全ての人にすすめるものではありません。その副作用も理解した上で、自己判断で医師から処方してもらってくださいね

ピルのメリット①自分の生理をコントロールできる

みなさんは自分の生理の周期を把握していますか?25日〜38日の周期が正常と言われており、この周期でほとんどの人が生理を経験します。カレンダーで次の生理がキャンプとかぶる!とかプールとかぶる!など大切な予定とかぶってしまう経験ありませんか?それ『仕方ない』ことではないんです。ピルを使って生理の時期をずらすことが可能です。

ピルのメリット②女性主体の避妊ができる

ピルを飲んだ場合の避妊率はコンドームよりも遥かに高い、99%以上です(コンドームは90%ほどと言われています)。かつ、女性主体でできる避妊です。自分の身体、人生を自分でコントロールするために非常に重要なポイントですね。もちろん、ピルを飲んでいればコンドームはつけなくてもいい訳ではなく、性感染症予防のためにコンドームは装着する必要があります。

ピルのメリット③激しい生理痛や生理不順が解消できる

生理痛がひどい人や生理不順の人も、産婦人科でピルの処方をすすめられる場合があります。ピルと飲むと必ず自分の意図したタイミングで生理は来ますし、動けないくらいの生理痛に悩まされている人もピルを飲むと解消される場合があります。


忘れないで、生理の貧困

学生のに5人に1人が『生理の貧困』

生理について話す時に是非忘れないでほしいのがこの言葉。生理の貧困とは、経済的な理由で生理用品を購入するのが厳しい状態のことを言います。20代の若者でつくるグループ#みんなの生理の調査によると、過去1年で経済的な理由で生理用品を買うのに苦労したことがある人はなんと20%にも上りました。それだけでなく、生理痛や生理により生活に支障がある人のうち、痛み止めの薬や低用量ピルを買いたくても買えなかったことがある人も13%いました。生理は主に女性しか経験しないこと、ということは、生理用品という必需品を購入する必要があるのは女性のみです。これにピルなどを購入しようと思うと更に出費がかさみます。

この生理の貧困、コロナでバイトがなくなり収入源がなくなってしまったり、親のネグレクトにより生理用品にアクセスできないことなど、背景は様々です。今まで家には必ず生理用品がストックされていて、生理用品を購入するのに困ったことがない、というのはあなたの『特権』だということですね。

この生理の貧困に関しては先日のNHKの特集でも取り上げられました。番組によると、国内でも255以上の自治体が、この問題に取り組む意思があり、94の自治体で、役所や公共のトイレなどで生理用品の配布を実施しているとのことでした。ここに行けばナプキンがある、というのは生理用品の入手に困っている女性にとっては非常に嬉しい動きですね。上記でご紹介した生理の貧困に関する調査を行った #みんなの生理 では、生理用品を軽減税率に加えてくださいという署名活動もしています。加えて海外の動きをみていくと、フランスやニュージーランドでは生理用品を学校で無料提供していたり、アメリカでは州によっては生理用品への税金を廃止していたり、イギリスでも先日『タンポン税』の廃止がニュースになりました。今後日本でも生理用品に対する税の軽減や廃止の議論が高まっていってほしいと思います。


いかがでしたか?今回は生理に関する基本的な選択肢をざーっと書いてみました。どんなことにおいても、選択肢があることと、その選択肢を知ることは非常に重要です。今回が読んでくださった方の選択肢を一つでも増やすことに繋がったのであれば嬉しいです。


参考文献
朝日新聞 I 女31歳。生まれてこのかた、一度も生理がない。
オズモール I 近い将来ナプキンがいらなくなる!?最近の生理用品事情
VERY I https://veryweb.jp/beauty/150960/
Sofy I 初潮を迎える子どもを持つママへ
Clinic for I 低用量ピルの効果は避妊だけじゃない!生理痛・生理不順・過多月経・ニキビにも効果があるの?詳しい効能について、医師が解説します。
Women's Health I 生理を知ろう】こんなに違う、日本と海外の女性の健康施策
Vogue I イギリスで「タンポン税」が撤廃! けれど「生理の貧困」をめぐる闘いは終わらない。
Note I 2020年秋冬 最新国内 Femtech(フェムテック)マーケットマップ発表!
NHK I クローズアップ現在 生理の貧困社会を動かす女性たち
NHK I 学生の5人に1人が「#生理の貧困」

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